「楽都」という名称について

 理事 本橋 義彰

「楽都(音楽都市)」とはどのような都市のことを指すのか、そして果たして郡山市は相応しいのだろうかと常々考えていました。

いくつかの辞典で調べてみたところ、「楽都」とは ①音楽が盛んに行われている都市 ②音楽の専門家が集まる都市 ③「楽都ウィーン」とあります。

来郡した方から、全国入賞した子どもたちの演奏を聴いて「さすが楽都ですね」と言われたことや、何人かの市民からも同様の言葉を聞くことがありました。確かに長期間にわたり先生方の熱心な指導に子どもたちがついてきて立派な演奏をすることは素晴らしいことだと思います。しかし将来的にも音楽を続けたいという人の後押しをするなどのソフト面と、そのためには音楽を感じることのできる音響の良いコンサートホールを持つようなハード面の環境作りが本当の楽都につながっていくために必要なのではないかと思うのです。

そこで、国内で「楽都」と言われている都市、さらに「楽都」にしたいという努力をしてきた都市をいくつか調べてみました。

楽都と言われている都市は、川崎市、浜松市、金沢市、松本市、水戸市、高崎市、その他たくさんあります。そしてほとんどの都市にはコンサートホールがあり、そこを本拠とするプロのオーケストラがあるところも多いのです。浜松市では「浜松国際ピアノコンクール」を開催したり、数カ所との国際交流や札幌などとの交流宣言も行っているようです。他にも別府アルゲリッチ音楽祭など海外の一流の演奏家を招聘しての音楽祭も各地で行っているようです。福島県でも猪苗代などを中心に「野口英世記念ふくしま国際音楽祭」が行われていますし、福島市では音響の良い福島市音楽堂でCD作製のための録音に使用することもあり、最近は福島市音楽堂を本拠としてプロのオーケストラを立ち上げ、まもなく演奏会を開催すると聞いています。

さて、たくさんある楽都の中でも一番距離的にも近い仙台市についてのみ、少し詳しくまとめてみました。

ウィキペディア(Wikipedia)によると、『仙台市が「楽都仙台」と言うときは、市(または仙台市市民文化事業団を通して)の税金投入がある音楽系団体やイベントの総体を指している。そのため、「楽都仙台」で第一に上がるのは仙台国際音楽コンクールや仙台クラシックフェスティバルである。企業の場合は、冠公演などで後援している仙台フィルハーモニー管弦楽団が第一に上がる。市民の認識では、定禅寺ストリートジャズフェスティバルin仙台など、無料の街角屋外ライブイベントが「楽都仙台」を代表している。』とありました。

仙台市においては、まずバブル期にホールや文化施設を数多く建設し、バブル崩壊後にはその施設のソフト面の拡充が叫ばれるようになったようです。そこで市が行ったことは、「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」を誘致し、後に市主催で「仙台国際音楽コンクール」を開催し、このときに「楽都仙台」が用いられたということです。

また、仙台フィルハーモニー管弦楽団(仙台フィル)は、クラシック音楽専用につくられた仙台市青年文化センター・コンサートホールを本拠とするプロのオーケストラで、ホールとオーケストラがあることも間違いなく「楽都」と呼んでいいのではないかと思います。

全国各地を見てみると「楽都」と呼ばれていないところでも、また、郡山市より人口が少なくても素晴らしいコンサートホールがあるところがたくさんあります。各地の現状を調べていけばいくほど、郡山市においてはまだまだだと思いますし、是非とも官民一体となって本当の「楽都」と呼ぶことのできる街になればと強く願っています。